「本気でペットを守りたい人のためのコラム」

〜コロンボ動物病院は千葉県船橋市にある動物病院です〜

koronnboyonnhiki

《バックナンバー》    ※トップページに戻る


1.もうやめませんか。愛情=おやつ(2017.12.7)

2.老犬・老猫・・冬にきをつけること(2017.12.6)

3.今この時期にかゆい!かゆい!なんでだろう?(2017.12.9)

4.フードってどうやって選ぶ?(2017.12.12)

5.もう3年毎でいいです。ワクチンの話(2017.12.21)

6.耳の病気の話(綿棒グリグリ)(2017.12.22)

7.意味のない感染症検査(2017.12.26)

8.てんかん発作って毎日薬飲まないとダメ?(2018.1.2)

9.果物・野菜が命を脅かす。OASの話(2018.1.9)

10.予防薬って「安全?」「危険?」(2018.5.17)

11.熱中症に気をつけましょう(2018.6.6)

12.ペットに「腸活」って必要ですか?(2018.6.7)

13.子猫・子犬を飼う前に読んでもらいたい@(2018.7.3)

14.子猫・子犬を飼う前に読んでもらいたいA(2018.7.23)

14.子猫・子犬を飼う前に読んでもらいたいB(2018.8.22)


◎子猫・子犬を飼う前に読んでもらいたいB

○ミルクは熱湯で作ってはいけません!

粉ミルクにお湯に入れて作るとき、「ダマ」が出来てしまい、

苦労される方は多いと思います。だからと言って、


ミルクを熱湯で作るのは、“絶対に”いけません。

        

「粉ミルクを入れた水」や「液状ミルク」をレンジでチンもダメです。

子犬子猫が食滞(胃腸が動かなくなる)を起こし、死ぬことがあります。


食餌性の「下痢」は、まだなんとか出来るのですが、

子犬・子猫が食滞を起こし、「便が出ない」場合は重症です。


ミルクの中のタンパク質は高い温度に曝されると“変性”してしまいます。

“熱変性したタンパク質”は通常通り消化・吸収されずに、食滞の原因になります。


液体のミルクを温めるときは、「レンジでチンは×」「湯煎で温める○」です。


ミルクの容器に「何度のお湯で溶かす」とか、「あたため方」が書いてあると思いますので、


給与前に必ずチェックして下さい。


○室温に気をつけましょう

特に夏場なのですが、「子猫・子犬は冷やしてはいけない」と

部屋をあまり冷やさない人がいます。

実際、“寒い”のと“暑い”のはどちらが危険なのでしょうか。

もちろん、月齢、個体ごとの健康状態、栄養状態、飼育環境などの諸要因次第ですが、

コロンボ動物病院では室温21〜22℃を推奨しています。

        

「熱中症」のトピックスでも少し書きましたが、


子猫・子犬が1日に必要な水分量は体重1kgあたり80〜90ccです。


それに対し、

成猫・成犬が1日に必要な水分量は体重1kgあたり40〜60ccです。


子猫・子犬は大人の2倍水分を必要としているということです。

言いかえれば、大人の2倍、脱水しやすいということ。


母親の母乳を飲んでいるときは、いつでも好きなときに母乳が飲めます。

仮に、生活環境が多少暑くても、脱水した分、好きなだけ母乳を飲めばよいのですが、


人が世話をしている場合、そう出来ない場合があります。


 ・ミルクやフードは、いつでも飲める訳ではなく、人の都合であること。

 ・留守番の場合は、何らかの理由で水分摂取出来ないことや、水分喪失(嘔吐・下痢など)することがある。


また、子犬・子猫は筋肉量が少ないので、

水分を貯める予備タンクが大人に比べて少ない(常に補充しないと生きられない)


水分が足りない状態で室温が高い部屋にいたら、あっという間に熱中症です。


もし、体温低下が心配なら、“ダンボールハウス”を用意しましょう。


体の大きさに合ったダンボールを調達し、組み立てたあと、10cm四方の穴を開ける。

中には座布団や毛布をいれてフカフカにする

そして、室温を21〜22℃に設定します。


自分で自由に歩ける子犬・子猫ならば、寒ければハウスに入り、ハウスが暑ければ勝手に出ます。

自分で自由に歩けない子犬・子猫、または、歩けてもミルクで育てている間は、

数時間毎に何回もミルクを与えなければいけないので、留守番はさせられません。


現在の室温が高いのか、低いのか、ウンチの状態から分かる事もあります。


元気で、感染症もないのにウンチがゆるい場合、

暑くて、水を飲みすぎていることがあります。

その場合、室温を下げると飲水量が減って、ウンチは硬くなります。


その逆に、便秘気味になっている場合、

暑くて、不感蒸泄(呼吸により水分が喪失すること)により、脱水していることがあります。


その場合、室温を下げて呼吸数が減ると、脱水が改善することがあります。

ただしこちらの場合は、室温を下げるだけでなく、

適切な水分補給も必要になります。


ちなみに筋肉量が少ない老犬・老猫もまったく同じです。

老ペットでは、腎機能も弱っていることが多く、さらに脱水しやすいので、

下痢することより、便秘が日常化するのが一般的です。


夏、老ペットが便秘したときに一番大切なのは

「水分の喪失を防ぐこと(室温・湿度管理)」と「水分補給に努めること」であって、

それを怠った上、便秘の改善効果を謳った「腸内環境を整えるエサ、薬、サプリ」を使用すると

危険な場合があります。詳しくは、「ペットに腸活って必要?」というトピックスに書きました。

こちらも読んでみて下さい。


○子犬・子猫を購入時にサプリメントを沢山飲ませるよう指示されたら・・

ペットショップからの購入時、店員さんから、

“サプリメント”を色々飲ませるよう指示されるケースが増えています。


子犬・子猫に必要なのは、子犬・子猫用のフード・ミルク等であって、

“サプリメント”ではありません。

何を与えるかは、飼い主さんが決めればいいことですが、

実際に、健康被害が出てしまっているケースをお話します。


腸内環境のための「乳酸菌」などの菌や「オリゴ糖」製剤

「低血糖を防ぐ」という目的ですすめられる「ブドウ糖」

の組み合わせです。


この組み合わせで、「家に着てからずっと下痢してるんです」

という子犬・子猫は1頭や2頭じゃありません。


これも詳しくは「ペットに腸活は必要?」というトピックスに書いていますので

そちらをご覧下さい。


そもそも、4〜6時間毎にフードを与えていたら、

低血糖なんて起こさないんじゃないでしょうか。(子猫・子犬を飼う前に・・@参照)


低血糖を起こすのは、

@頻繁にフードを与えていない場合、

Aフードを食べない場合、

B嘔吐・下痢をしている場合、

などです。


@は飼い主さんが頑張ればいいことですし、

家に来るときにAやBだったら、状態が改善するまで、家に連れてきてはいけません。

家に連れてきても「輸送ストレス」で悪化するのは目に見えています。

ショップにも獣医はいるのですから、治療して元気になってから引き取るべきです。


前述の「乳酸菌・オリゴ糖」+「ブドウ糖」は下痢するケースが多いため、

十分“低血糖の原因”になりますから、本末転倒です。


「低血糖を起こした時の症状や対処法を、購入時に聞いておく」方が

ずっと意味があります。


○「プロピレングリコール」って知ってますか?

これは「アルコール」の一種で、さまざまなものを溶かす“溶媒”です。


「ペットのナントカシート」という“シートタイプ”製品

「ペットのナントカクリーナー」という“液体タイプ”製品

さらには、「半生タイプのドライフード」などの食品にも使用されています。


このプロピレングリコールは、毒性が非常に低く、使い勝手がよいので

医薬品、食品、工業用品などの“添加剤”として重宝されています。


ただ、ペットでは、耳に「接触性皮膚炎」を起こすことも知られています。


もし、プロピレングリコールが配合されている「ナントカシート」「ナントカクリーナー」


を使用していて、皮膚や耳に「脱毛」や「炎症」が見られたら、

ちょっと使用を中止してみて下さい。

表記は、「プロピレングリコール」「PG」「DPG」などです。


もちろん、清拭する頻度、清拭の時の「ちから加減」、綿棒の使用などの影響もないとは断言できません。


しかも、ちゃんと検査した訳ではないので、“因果関係は?”と聞かれると困るのですが、

「ちょっと使用をやめてみる」だけで脱毛や炎症が治ったら

ペットにとっても、飼い主さんにとっても「よい事」なのですから

試す価値はあります。

使用を中止して改善しなければ、他の原因を探せばいいだけです。


実は、これに関して苦い経験があります。


当院を開業して間もないころ、外耳炎のペットが来院された際、

院内での治療後、ご家庭でも洗浄していただくために、

製薬会社が製造している“耳洗浄液”を処方したのですが、


「洗浄すればするほど、耳の皮膚が荒れてくる」

とご指摘いただいたことがあります。


勤務医の頃から、何の疑いもなく使用していた洗浄液だったので、

なぜだか分からず、色々調べてみたところ、


可能性のひとつとして、「プロピレングリコール」の関与が浮上しました。


もちろん、接触性皮膚炎は、起こすペットと起こさないペットがいるのですが、

当院では、その後、プロピレングリコール配合の耳洗浄液は使用していません。


○給水器を使っていたら、ちょっと気を付けて下さい。

特に子犬で問題になることが多いと思いますが、


給水器を取り付ける“高さ”によっては、気管支炎のような症状を起こす事があります。


よく医療ドラマで、人工呼吸をする時、顎先に指をそえて、

患者さんの頭部を斜め上に傾けるシーンがあると思います。

あの角度にすると空気を肺に送りやすくなるからです。

 

もっと分かり易く言うなら、瓶に入ったコーラを空を見上げるように

ゴクゴク飲んで「プハーッ!」ってやつです。


あれは、失敗すると、むせったり、鼻に入ったりしやすいですよね。

給水器の高さを「首が斜め上に向く角度」に設置すると、まさに“あの状態”になります。


すると、鼻からいつも水が出ていたり、呼吸をすると喉がゴロゴロすることがあります。

給水器は斜め上でなく、“まっすぐ鼻の高さ”につけます。


さらに言うなら出来るだけ早く器(うつわ)から飲むように切り替えましょう。

成犬になってからも給水器を続けていると、より、夏冬の脱水が強いように感じます。

おそらく、ちょっとずつ飲むので、乾きが癒えてしまうのだと考えています。

水は命の源。「こぼす」とか「器に足を突っ込む」とかよりも、“飲みやすい”のが一番です。


これも、経験談なのですが、

牛の獣医駆け出しで、先輩獣医について研修していた時、

“子牛の下痢”を防ぐ手段として、

「人工哺育」を導入していた和牛農家さんがいらっしゃいました。


その方は、「下痢は減ったが、毎年、何頭も肺炎で死ぬんだよ」

とおっしゃっていました。


人工哺育では、哺乳時間短縮のため哺乳瓶を高くして、

まさに斜め上に首が伸びるようにして乳を与えます。しかも、

たくさん乳が出るように乳首の穴を大きくします。


これらにより、“誤嚥性肺炎”が増えたのだろうと考えています。


今度観光牧場に行ったら見てみて下さい。


子牛は母牛の乳首を吸うとき、首を斜め下に下げた状態で

ほぼまっすぐ(地面と水平に)乳首を吸っていますから。

子牛が斜め上に首を伸ばした、そんな高い場所に乳首はありません。


          《バックナンバー》に戻る

 

◎子猫・子犬を飼う前に読んでもらいたいA

○家に来てから10日位は、サークル内で隔離して健康チェックしましょう

子犬・子猫を迎えたら、床を熱湯消毒出来る場所にサークルを設置して

10日間程度は隔離して健康チェックするべきです。

熱湯消毒以外、有効な方法がない感染症もあるのですが、

どうしても場所がない場合は、新聞紙を厚く拡げて、全とっかえ出来るようにするか

メーター売りの塩ビシート(台所の床に敷くような)を敷いた上にケージを設置します。

        

これは、先住ペットがいる、いないに関わらず実施します。


もし、先住ペットがいる場合は、お互いに病気を感染させないため、

より厳密に隔離しチェックします。


「何言ってんの?ペットショップで大丈夫だって言われて買ってきたんだよ!」

お気持ちは分かりますが、保護された場合でも、購入された場合でも、


子犬・子猫が何らかの感染症にかかっている確率は非常に高い。

残念ながら、それが事実です。


感染症の中には、


○人獣共通感染症(人にも伝染する)

○生活環境を汚染し、排除するのが大変なもの(汚染された環境から、繰り返し同じ感染症にかかる)

などもあり、ペットや人の幸福に関わる大問題です。


“元気だから大丈夫!”なんて、まったくあてにならないんです。なぜなら、


“輸送ストレス”(環境の急激な変化によるストレス)により、

隠れていた感染症が発症することがあるんです。


以下に子犬・子猫に多く見られる感染症を挙げます。


 ○外部寄生虫・・ノミ・シラミ(犬猫。特にノミは環境を汚染するので排除するのが大変)

 ○外部寄生虫・・耳ダニ(犬猫。耳疥癬。特に耳毛の多い犬は排除するのが大変)

 ○消化管内寄生虫・・回虫(犬猫。人獣共通感染症・幼獣では気管型移行するので繰り返し検便必要)

 ○消化管内寄生虫・・コクシジウム(犬猫。糞便中に幼虫を排出する原虫。幼獣は死亡することあり。

                     日和見感染。環境浄化困難。原虫。)

           トキソプラズマ(猫・人獣共通。猫は糞便中に幼虫を排出。幼獣は死亡することあり。

                          成猫では神経症状。原虫。排除困難。

 ○消化管内寄生虫・・瓜実条虫(ウリザネジョウチュウ:ノミが中間宿主になる条虫。検便では見つけられないことあり)

 ○消化管内寄生虫・・ジアルジア・トリコモナス(猫で難治性下痢の原因になることあり。原虫)

 ○猫の上部気道感染症・・ネコ風邪です。ヘルペス・カリシなどのウイルス。日和見感染。排除困難。

 ○猫のその他感染症・・マイコプラズマ(肺炎)・クラミジア(結膜炎)・FIV(エイズ)・FeLV(白血病)

 ○犬のケンネルコフ・・気管支炎。アデノウイルス・パラインフルエンザウイルス・ボルデテラ・マイコプラズマ

 ○犬猫の皮膚糸状菌症・・いわゆる"水虫"。人獣共通感染症。排除困難。

 ○犬・猫のパルボウイルス感染症・・致死率高い。隔離施設が必要。嘔吐、下痢、血便、汎白血球減少症


ざっと挙げただけでも、これだけの感染症があります。


最も注意が必要なのはパルボウイルス感染症ですが、

潜伏期が5日〜12日と言われているので、

「今日家に連れてきたんですけど、健康チェックお願いします!」

と来院されても、何らかの症状が出ていない限り見つけるのは困難です。


しかも、感染力が非常に強いので、仮に糞便中にウイルスを排出している場合、

幼獣が移動した場所、幼獣を触った手指、靴、衣類を通して、次々に伝染します。


ワクチンを接種していても、強毒株に当たれば、安心は出来ません。

消毒薬にも強く、体外に出ても、6ヶ月程度感染能を持つので、

院内感染や、施設内感染も大きな問題になります。


治療に隔離施設が必要なのは、そういう理由です。


◎「当院が推奨する子猫・子犬を迎えた時のチェック項目」

ご来院前に、ご自身でチェックしてみて下さい。


@糞便検査(便のみ病院に持参→来院前に電話)

     (便に虫がでることもあり・・長い白〜肌色なら回虫。白くて2〜3ミリで伸びたり縮んだりなら瓜実条虫)

     (肛門付近や尾に白ゴマみたいなのが付いていたら瓜実条虫)

 

Aノミチェック・・白い紙の上で背中・尻尾の付け根を中心に全身をボリボリして

         →黒い粒が落ちたら集めて水を霧吹き→赤くにじんだらノミの糞→病院に電話


Bミミダニチェック・・耳の中を見て黒い耳垢・耳を痒がる様子があったら→病院に電話


C嘔吐チェック・・子犬・子猫がひどく吐いている場合→パルボウイルスの可能性あり→病院に電話


D皮膚チェック・・全身の皮膚をチェック。痒がる・脱毛・かさぶた・ガサガサしている・血がにじんでいる

         →病院に電話


E犬のくしゃみ・鼻汁・・ケンネルコフの可能性あり→食欲あっても病院に電話


F猫のくしゃみ・鼻汁・・ネコ風邪の可能性あり。食欲あれば、まず栄養状態の改善。

                       食欲今ひとつなら→病院に電話。


G犬の咳・・ケンネルコフの可能性 / 痰を切るような咳の場合、パルボウイルスによる嘔吐の可能性もあり

      →病院に電話


H猫の咳・・痰を切るような咳の場合はネコ風邪による咽頭炎 / パルボウイルスによる嘔吐の可能性もあり

      →病院に電話

  

I猫の目が目やにでくっついている・・ぬるま湯をひたしたカット綿・化粧パフでアイラインをやさしく何度も

                  ぬぐう。


J猫の結膜炎・・結膜が赤いだけ→食欲あれば栄養状態の改善

        結膜がタラコのようにふくれている→病院に電話

        結膜がふくれて外から眼球が見えない→病院に電話


※注・・「病院に電話」は伝染病の防除を考えて、「事前連絡の上病院の指示に従って」ということです。

※注・・小さな子猫の場合、排便・排尿の介助をしないといけない場合があります。

    方法は、エサやミルクを与えた後、ぬるま湯をひたしたカット綿や化粧パフで陰部や肛門を優しく

    マッサージ。


元気で、食欲があり、排便・排尿ができており、上のチェック項目に該当しない場合は、

10日ほどケージ内で隔離して健康チェックしながら、

病院での糞便検査だけを行えば、それで十分です。来院の必要はありません。


当院では「家に着てから10日以内かつ生後56日未満のワクチン接種はしない」方針です。

ワクチンは健康なペットに接種するもので、

輸送ストレスが強くかかっている時期に、あえて接種する必要はありません。

今日接種して、明日には効果が発揮されるようなものでもありませんから。


上記感染症の検出も、「簡単な院内検査で見つけられるもの」から、

「特別な検査キットや、外注検査なら見つけられるもの」まで様々です。

どの検査で、どの病気を検出するかは、飼い主さんとの相談で決定します。


最近、譲渡時に「これは、皆んな持ってるから大丈夫!」

などと、上記感染症に関して言っている人もいるようですが、


「持ってて大丈夫」かどうかを判断出来るのは、

これから10年以上生活を共にする飼い主さんだけです。


お父さんの“水虫”を治すのはとても大変ですし、抗真菌薬だって決して安全性の高い薬品とはいえませんが、

「“水虫”も含めてお父さんが大好き!無理に抗真菌薬なんて使わなくってもいいのよ!」という奥様もいれば、

「お父さんは大好き!でも“水虫”はちょっと・・。協力するから頑張って治そう!」という奥様もいるでしょう。

同じことです。


"耳障りのいい言葉"に惑わされず、飼い主さん自身が、知識を広げて判断して下さい。


これから、10〜20年一緒に暮らすんです。


家の中を歩かせたり、一緒に寝たりするのが「たったの10日」遅れるだけです。

これから先の健康と幸せを考えれば、なんてことはありませんね。


          《バックナンバー》に戻る


◎子猫・子犬を飼う前に読んでもらいたい@

今年も例年に違わず、春から今日までの間、


「子猫を保護した」「譲渡を受けた」という沢山の方から、

診察依頼や、相談を受けました。


子猫の保護や、行政の対応を含む、現在のさまざまな野良猫に関する問題には、

十人十色の考え方があるので、今回は一切触れませんが、

購入・譲渡・保護を問わず、

「子猫を自分で飼おう」と思っている人には是非知っておいて欲しいことです。

書き出しは「子猫」で始まりましたが、「子犬」にもあてはまりますので是非読んで下さい。


まず、大前提として、子猫・子犬は「赤ちゃんなんだよ」ということです。


元気に成長するためには、徹底的な「保護=世話」が必要です。


今から、書けるだけ、具体的に挙げていこうと思いますが、

最近、一番気になっているのが、子猫・子犬の「エサの回数」について、

「1日2回でいいと言われた」という人がすごく多いんです。


「1日2回」・・・どう考えても無理があります。


成長と、からだの維持に必要な栄養を、「2回で食べきれ!」と言っているようなものです。


親といれば、昼夜問わず、好きなときに母乳を飲むんですよ。

消化機能だって未熟な赤ちゃんなんだから、

ドカ食い出来る子猫・子犬なら、消化出来ずに下痢するのは「ある意味当たり前」、

ドカ食い出来ない子猫・子犬なら、栄養不足で、成長不良、虚弱になるのは「当たり前」、

なんですよ。


「生後2ヶ月は赤ちゃんじゃないよ!」

という人がいますが、「保護=世話」が必要と考えれば、やはり赤ちゃんと考えるべきです。


子猫・子犬は口がきけないし、自分でエサを調達することもできません。

「こっちのパウチ食べづらいから、ミルク飲みたいなぁ」

「ドライフードはいやだなぁ」

「お腹すいたけど、置いてあるパウチ、いい匂いしなくなっちゃったから食べたくないなぁ」

「朝ごはん食べちゃったけど、僕はまだまだ食べられるから、昼ごはん用のドライも今食べちゃおう!」

「あー、食べ過ぎてちょっとお腹痛いなぁ」

などと言っているかもしれません。もちろん想像ですけど。


子猫・子犬たちの言葉は分からなくても、


○エサの食いつき具合、

○残す量

○便の量、色、下痢してないか、便秘してないか(下痢・便秘は室温の影響も強く受けますが・・後述)

○元気、活動性

体重が増えてるのか、減っているのか

背骨・肋骨・骨盤の骨は尖(とが)っていないか


など、徹底的に観察してあげれば、エサの量や質、回数の問題が見えてくる筈です。


もし子猫や子犬に

「1日2回のエサで大丈夫ですよ」という人がいたら、

○その人自身が、何らかの事情で「1日2回しかエサがあげられない人」

だったり、

○「1日2回しかエサをあげられない人達」にも買って(飼って)ほしい人

なのかもしれません。

猫も犬も人間も同じ哺乳類です。ちょっと想像力を働かせて考えてみてください。

「ご飯は1日2食で十分だから、お昼ご飯なんて食べなくていいんですよ〜」

子供たちに、そんな事を言う保育園とか幼稚園、聞いた事ありません。


子犬・子猫のエサの回数ですが、


○まだ、目が開いていない、排便・排尿の介助が必要な哺乳期の子犬猫・・・4〜6時間毎に6〜4回/1日

○自分で排尿・排便出来るが、ウエットフード主体の離乳期の子犬猫・・・6〜8時間毎4〜3回/1日

○ドライフードをガツガツ食べ、水もガブガブ飲める子犬猫(〜1歳まで)・・・8時間毎3回/1日


○生後1歳以上の犬・・・成犬。1〜2回/1日(エサの置きっ放しはダメ)

○生後1歳以上の猫・・・成猫。2〜3回/1日(エサの置きっ放しは原則ダメ・加齢や疾病で例外あり)


を目安にして下さい。


ここで大事なのが「青字の〜時間毎」です。


必ず24時間を回数で均等に分けるということです。

下痢、低血糖を起こしている子犬・子猫」に多く見られるエサの給与方法は、

朝7時、昼1時、夜7時の3回給与で、夜7時から翌朝7時までエサを与えない」というやり方です。

もし、1日3回給与にするならば、

「朝6時、昼2時、夜10時の8時間ごと3回給与」にして下さい。


上記の通り、哺乳期の子犬・子猫では、食後に必ず排便・排尿を促すマッサージをします。

《方法》・人肌のぬるま湯を浸したカット綿や化粧用パフで肛門と陰部をやさしくマッサージする。

    ・皮膚を痛めぬよう「スリスリ」ではなく「チョンチョンチョンチョン」という感じ。


もし、どうしても仕事の都合や、家庭の事情でエサの回数を増やせない場合は、

ご家族の協力、自動給餌器、ペットシッターの利用を考えるのもいいでしょう。

「猫や犬の赤ちゃんの体調」を、「人間の大人の都合」に合わせずに済むよう、

「保護=世話」をしてあげて下さい。

          《バックナンバー》に戻る


◎ペットに「腸活」って必要ですか?

いま、どんなメディアでもひっぱりだこなのが、「腸活」です。

・・・・腸内環境を整えると、こんなにも素晴らしい効果が〜!!!・・・・

新聞でも、雑誌でも、ネットでも「腸活」に関連した言葉を見ない日はありません。

逆に言えば、それだけ消費者の腸内環境に対する意識が高いということです。


ちなみに・・・


「腸活」=大腸にいる腸内細菌を整えることです。


つまり“ 菌 ”の話です。


確かに

  ○免疫が向上する。

  ○逆に、好ましくない免疫(アレルギー)は抑制する。

  ○善玉菌の働きで、悪玉菌が減る。

  ○大腸がんの予防効果が高い。などなど・・・

さまざまな利点が分かっていて、実際、

「便秘気味だったのに、毎日どっさり!すっきり!」

「おならが臭くなくなった!」

「肌がきれいになった」

など、短期的に効果が現れることも、ブームに拍車をかけている要因でしょう。


ペット関連商品にも、「腸活・腸内環境・善玉菌」といった文字がやたらと多くなりました。

私は、「腸活」を否定するつもりはないのですが、

犬や猫などのペットに必要か?と聞かれたら、不必要だと思っています。


もちろん、飼い主さんのペットですから、どんな育て方をするかは飼い主さんが決めればいいのですが、


これから、このトピックスでお伝えすることぐらいは知っていて欲しいと思います。

食餌性の下痢が減れば、ペットの幸せにつながると確信しているからです。


(T)「腸活」における人とペットの絶対的な違い

獣医の立場からみて、人の「腸活」とペットの「腸活」が違う意味を持ってしまう一番の原因は、


・・人はトイレでウンチをする・・


ことにあります。


「腸活」をすると、トイレで「どっさり!すっきり!」感を実感出来ます。

皆さん、あ〜スッキリ!と感じるでしょうが、

どのくらいの硬さの、何色のウンチが出たかは、チェックしませんよね。

「どっさり!すっきり!」ばかりに気をとられ、

「どれ位の範囲に飛び散っている」とか、「どれくらいの勢いで出た」とか


もっとはっきりいうと、「どれくらい便器の内側が汚れたか」


は、あまり気にしません。

水洗トイレでしかも、洋式トイレが普及している現在は、そんなこと

気にする必要がないからです。

レバーを回せば、ジャーッと勢いよく、水が便器の内側の汚れを流してくれます。


後で詳しく書きますが、

「腸活」すれば、程度の差はあれ、ウンチは色が明るくなり、柔らかくなります。

便器の内側に飛び散るほど柔らかくなることもあるでしょう。

なぜそうなるのかは説明が難しいので書きませんが、

ものすごく簡単に言うと、「血管内の水分を大腸内に移動させるから」です。


それが「腸活」の当たり前の姿です。


犬や猫に「腸活」すれば、人と同じことが起きますが、


・・犬や猫のウンチは人が片付ける・・


飼い主さんは、自分のウンチが少しゆるかろうが、色が薄かろうが、トイレの内側に飛び散ろうが、

病院を受診することは、まずないでしょう。

でも、ペットのウンチが、

少しゆるかったり、色が薄かったり、ペットシーツから外に飛び散っていたりすると、

「先生、下痢してるんです」と動物病院を受診します。


(U)勝手に「腸活」になってしまう食材

ペットが、下痢で来院した場合、当院では、徹底的に問診します。


「主食は何ですか?メーカーは?商品名は?」

「犬用のおやつは与えていますか?」

「人の食べ物は与えますか?」

「野菜や果物は与えていますか?」

「サプリメントは与えていますか?」

・・・・・


すると会話の端々から、飼い主さんのこんな思いが伝わってきます。


「なんだよ・・とりあえず早く治療してくれよ・・・」

「いつも食べてるものなんだから・・・」

「犬用のおやつなんだから大丈夫だよ」

「他の獣医にそんなこと言われたことないよ」


反応は様々です。


確かに、「問診は適当」にして「指導なんてしない」で

注射や点滴だけ"ブスッ"と打つのなんて、獣医からしたら楽だし、簡単です。


黙って注射打って、「はい、また明日も来て下さいねー」ってやれば、病院の儲けにもなりますから。


でも、原因を明らかにして、徹底的に指導すること。そして、

その指導を飼い主さんが実践することで、

ペットは何回もつらい思いをしなくて済むんです。


間違いを恐れずに言うならば、


飼い主さんの愛情が“ 毒 ”になっているケースが多いということです。


話を本題に戻して、

徹底的に問診してみると、


@「腸活」になってしまうかもしれない人の食べ物・犬のおやつを与えている場合、

A「腸活」しないよう、主食のみ与えているのにウンチがゆるくなってる場合、


の2通りがありますが、問題は、後者の主食しか与えてない場合です。


この場合、考えられるのは、


「エサが原因でない場合(重大なトラブル)」

「それでもなお、エサが原因の下痢である場合」の2通りです。


「エサが原因でない場合(重大なトラブル)」は特異的な治療が必要ですので今回は省きます。


主食しか与えていないのに、ウンチがゆるくなるペットの中には、


毎日の食事が、勝手に「腸活」になってしまっているケースがあります。


私が診察していて実感するのが、


下痢の多くが、「腸活」について、知識を深めると解決してしまうもので、

飼い主さんが意識を変えれば、大げさな治療など必要ないものばかりです。

ペットによっては、下痢で来院の必要すらなくなるかもしれません。


逆に言えば、「腸活」について知らないと、重症化してしまい、ペットが死ぬことだってある、

ということです。


仮に重大なトラブルが原因の下痢でも、


飼い主さんに「腸活」の正しい知識があれば、「食餌性の下痢」の可能性が除外出来るので、

より早く下痢の原因を見つけることができる、ということです。


【主食に含まれる「原材料」】


@菌・・「○○菌」「ラクトバチルス」「L.○○」「ビフィズス菌」など

Aオリゴ糖(フラクトオリゴ糖など)、難消化性デキストリン、サイリウム、水溶性繊維、可溶性繊維、増粘多糖類、増粘安定剤など

B乳糖、ブドウ糖、麦芽糖(マルトース)、果糖(フルクトース)など

Cミルク(乳糖を含むため)


もし、主食の原材料に上記@〜Cの文字があったら、


飼い主さんが「腸活」しようとしていなくても、勝手に「腸活」するエサと言えます。

ウンチがゆるくなるのは普通のことです。


【飼い主さんが、よかれと思って与えているズバリ「腸活」製品】


○生菌製剤(ビオ○○など)、難消化性デキストリン、ヨーグルトなど


これらを与えれば、積極的に「腸活」をしたことになり、

ウンチがゆるくなります。


では、次に、徹底的な問診の結果、


「腸活」になってしまうかもしれない人の食べ物・犬のおやつを与えている場合です。


【人の食べ物】


○不溶性繊維を多く含む野菜、サツマイモなど炭水化物を多く含む野菜、果物全般


不溶性繊維は、大腸で発酵により分解されたり、ウンチの体積を増したりします。


炭水化物や果糖は本来、小腸で分解され吸収されますが、


雑食性の人間とは違い、


肉食性(雑食)の犬や肉食性(肉食)の猫では、多くが吸収しきれず大腸に

到達してしまい、「腸活」に貢献してしまうと考えられます。


○火を通した肉・硬い肉(ステーキ・ササミなど)


消化が悪く、小腸で吸収出来ず、大腸に到達してしまい「腸活」に貢献。


体重5kgの犬に1切れの肉を与えたら、体重70kgの人に換算したら=14切れです。

体重5kgの犬に2切れの肉を与えたら、体重70kgの人に換算したら=28切れです。

体重5kgの犬に3切れの肉を与えたら、体重70kgの人に換算したら=42切れです。


・・・


もはや、大食い選手権ですね。ウンチはゆるくなりますし、膵炎の危険因子です。

※「めちるめるかぷたん」の発生要因にもなり得ますが、今回は省略。


【犬のおやつ】


上に書いたことすべてが当てはまります。


「腸活」に貢献し、ウンチがゆるくなります。

※「めちるめるかぷたん」の発生要因にもなり得ますが、今回は省略。


こういうものを与えて、ウンチがゆるくなったら「当たり前」と思って下さい。


重症化さえしなければ、病気ではありません。


飼い主さんの多くが「下痢してるんですけど、元気なんです」とおっしゃいます。


ちなみに「腸活」で起こる下痢は大腸性の下痢なので

しぶり”(繰り返す強いいきみ)や“腹痛”や“血便”を伴うことはあります。


「仕事から帰ったら、家のあっちこっちに下痢してあって〜。元気なんですけどね・・」

という感じです。


もし、元気がなくなったら、「重症化した」か、「別の病気のサイン」です。


「重症化」しやすいペットは、脱水している、高齢、暑熱ストレス、腎不全などで、


すべての悪化の要因となるのは、アシドーシスという病態です。

腎不全のペットに「腸活」を行うことを薦める方がいますが、同意出来ません。

便秘によるNH3等“ 毒 ”の発生を抑えるメリット以上に、

脱水やアシドーシスによるデメリットの方が大きいからです。


今日では処方食メーカーの「消化器障害」用フードにも、

続々と「腸活」を促すような成分が使用されています。


「腸活のしすぎでウンチがゆるくなったペット」に

昨年まで、安心して処方出来ていた「消化器障害」用フードも、

原材料に「腸活」材料が入ったため、おいそれとは処方しづらくなりました。


最後の砦だったのに・・・。残念で仕方ありません。


メリット、デメリットを考えると、やはり私は、ペットに「腸活」は不要だと思います。


飼い主さんも、ひとりの獣医の意見として片付けず、肝に銘じて下さい。

狩りをして、食べ物を自分で調達できないペットだからこそ、

ペットの口に入るものは、十分注意して与えるべきです。


          《バックナンバー》に戻る


◎熱中症に気をつけましょう

熱中症は、重症度により症状も様々で、生命に危険を及ぼす危険な症状です。

しかし、熱中症は、飼い主さんが気をつければほぼ100%防げる病気です。

熱中症になってしまった原因には、次のようなものがあります。


○車の中に、ほんの10分、留守番させた

   ・・・皆さんご存知のように、車中は信じられない暑さになります。

      ほんの10分が命取りです。


○昨日シャンプーして、ドライヤーをかけた

   ・・・普通の日常ケアのようですが、気温や湿度が高いなか、

      「カゼをひいてはかわいそう」と、温水で長時間洗い、ドライヤーを念入りにかける。

      毎年、熱中症の原因や、心臓の悪いペットが、命を落とす原因になっています。

      シャンプーの仕方は、当ホームページに詳しく記載してあります。ご一読下さい。


○「うちは風通しがいいから、留守番は窓を全開にして、扇風機をまわしておけば大丈夫。」

   ・・・ペットは、体に汗をかきません。

      風が当たってひんやり感じるのは、汗が蒸発するときに熱を奪ってくれるからです。

      体に汗をかかないペットは、人が思うより、体から熱を逃がせません。

      やはり、屋内では、エアコンを使用するべきです。

      よく、「うちの犬は南の犬だし、小型犬だから寒くすると風邪引く」

      という人がいますが、留守番中に室温が高くなって命の危険が生じる

      よりは、春の陽気である21〜22度の室内に置いていくほうが、ずっと

      安全です。


      「うちの子、冷房が嫌いですぐ出てっちゃうんです!」と言う方、

      簡単です。冷房の部屋から出て行かないようにドアを閉めてからお出かけ下さい。


      特に脱水しやすいのは、

      ○子犬・子猫・・1日あたり80〜90ml/体重1kgの水分が必要なんです。

              留守番中に水分補給できない状態で、「暑さ」を感じたら最後、

              洗濯物が乾くようにあっという間に脱水します。


              一度脱水すると、自力で水を飲むことが出来なくなることだってあるんです。


              「21〜22℃の設定は低すぎる」という人がいますが、

              吹きっさらしの21〜22℃にしろ、と言ってるんじゃありません。

              部屋全体を21〜22℃にして、フカフカの小屋は必ず用意します。


              この室温がダメなら、繁殖期が春秋の猫はとっくに絶滅してます。


      ○高齢のペット・・腎機能が落ちている場合は、より危険です。

               脱水は容易に、血液中の毒を濃縮します。

               また、脱水して尿量が減ると、腎臓内で尿がゆっくり移動するようになります。

               すると、本来尿として排出するべき毒素が、体内に戻ってしまうんです。


               この“負のスパイラル”が急激な尿毒症を起こす原因となり、

               腎臓に不可逆的な(元に戻せない)ダメージを残します。


○「エアコン、つけてますよ。設定温度は27度です。」

   ・・・コロンボ動物病院がおすすめする設定温度は21〜22度です(春の陽気です)。


      まず、日当たりのよい部屋では、壁を通して輻射熱(ふっくしゃねつ)が伝わり、

      エアコンが効かない原因になります。

      窓から入ってくる日光も室温を上げる原因です(ビニールハウス状態)。


      病院に動物を入院させるとき、ケージ内が25度では、動物はすやすや眠れません。

      小型のペットでは21〜22度、心臓の悪いペットや大型犬は18度ですやすや眠れます。


      寒くて震えていたら、その時に温度調節すればいいだけです。

      飼い主さんが「私が風邪引いちゃうわよ!」というのは別問題です。

      あくまで、ペットのことを考えております。


○「散歩は夕方、日が暮れてからです。」

   ・・・日が暮れても、すぐに道路の温度が下がる訳ではありません。

      必ず、散歩前に、飼い主さんの手で、道路を触ってみましょう。

      温かかったら、散歩するには要注意です。

      また、湿度が非常に高い時の散歩にも十分な注意が必要です。

      毎年、夕方から夜の散歩後に体調が急変するケースが多く見られます。

      飼い主さんが涼しくても、道路から数10センチの高さにいるペットが涼しいとは限りません。


○「うちの犬は外で飼っているけど、日陰にいるから大丈夫です。」

   ・・・その日陰、一日中、日が当たらない日陰でしょうか?

      1日何時間かでも、日があたる場所(とくにコンクリート)は、日が当たらなくなっても、

      なかなか温度が下がりません。

      飼い主さんもサマーセーターを1枚着て(犬の体毛のかわりに)

      犬を繋いでおく場所で30分位過ごしてみましょう。

      飼い主さんが暑く感じたら、犬を繋ぐには不適当な場所です。

      犬は体に汗をかけないのだから、飼い主さんよりもずっと暑い筈です。

 

熱中症の疑いがある場合、早急に体温を下げる必要があります。


@エアコンのあるところなら、エアコンを18度(出来るだけ低く)にして、体に霧吹きする。

 なければ、とにかく体に水をかける。

 お腹を冷やした方がいいので布団の上などではなく、床の上がいい。


A扇風機、なければ、うちわ、板等、なんでもいいので、風を体に向けて送る。

 人が風呂上りに扇風機の前にいると、汗が引いて涼しく感じる(気化熱で体温を下げる)要領です。


B嘔吐がなく、自力で水を飲むようなら、十分与えます。


Bその後、ペットの状況によって動物病院を受診してください。


《その他注意事項》


※氷を入れた水風呂などは、末梢の血管を縮めすぎてしまい、熱の放散を妨げることがあります。

 まずは@〜Cの方法を試しながら、同時に動物病院の指示を仰いで下さい。


※熱中症は、重症化すると、高温の血液により血管の内側がダメージを受けます。

 このダメージが原因で、後から重篤な症状が出る場合が少なくありません。

 体温が下がった後も、数日は、散歩をやめたり、暑いところには置かないなど

 「涼しく、安静に」を徹底して下さい。


          《バックナンバー》に戻る


◎予防薬って「安全」?「危険」?

今、動物病院では、様々な「予防薬」や「駆虫薬」を取り扱っています。


飼主さんにもよく聞かれることですが、

皆さんが一番気にされているのは、「安全性」です。

ここで、フィラリア予防薬(線虫駆虫薬)とノミ・ダニ駆除薬について考えます。


まず最初に理解してほしいこと、それは、

ナメクジにかける「塩」とは違うんだ、ということです。

これらの寄生虫に対する薬は、「殺虫剤」なんです。

フィラリア予防薬として、最も市場に出ているイベルメクチンなどの「アベルメクチン系抗生物質」、

背中につけたり、おやつに練りこんでノミ・ダニを駆除する

フェニルピラゾール系化合物、イソキサゾリン系化合物は

ほとんどの薬剤が、寄生虫の神経を「死亡するレベルまで興奮させる」、

ことによって虫を殺します。

ここで問題になるのが、使用するペットに対して、「有害」それとも「無害」かということ。

結論から言えば、「無害とは言えない」ということです。

「じゃあ、有害なんじゃん!」と思う人は、予防薬は使用しない方がいいと思います。

ほとんどの薬は、薬にもなるが、毒にもなります。

「毒」にもなりえる「薬品」の「有効量」を調べるために

繰り返し試験が行われ、

「多くの個体に有効」量以上で、かつ、「多くの個体に副作用が出ない」量を決定し、

その試験結果が認められたら、市場に出まわる。

すべての薬が、このステップを踏んで販売されます。

「多くの−」というのが重要で、決して「すべての−」ではないんです。

同じ量を使用しても、「効果が出ない」ペットはいるし、

「副作用が出る」ペットもいるということです。

逆に考えて、副作用のない薬はありません。

仮にあるとすれば、その効果も限定的なのか、あるいは、”ラッキー”かです。

すべての薬を使用するとき、必ず考えなければならないことは、

「有効性」が「危険性」を上回っているのか。

「副作用」が起きる危険性を上回るメリットがあるのか。

ということです。

当院では、正規の販売ルートを通じて流通している薬について、

「安全ですか?」と聞かれたら、「安全です」と答えます。

臨床試験を行ってパスした薬しか、正規ルートには乗らないのですから当然です。

「じゃあ、危険はないのか?」と聞かれたら、

「危険がないとは言い切れません。殺虫剤ですから。」と答えます。

結局、飼主さんが決めるしかありません。

「100%安全じゃないのなら使うの止めよう」

「100%安全じゃなくても、フィラリアに感染した時のリスクの方が怖いから使おう」

「100%安全じゃなくても、ノミ・ダニに噛まれて血を吸われるのはかわいそうだから使おう」

といった具合です。


最後にひとつ。

当院では、家に来てから10日以内の仔犬・仔猫は正面受付から入れません。

まずは、お電話いただき、診察の必要がある場合は、飼主さんも含め、他のペットと

接触しないようにするためです。

「抱っこしているから大丈夫です!」という人がいますが、

そういう問題ではなく、仔犬・仔猫が一番、伝染病や寄生虫の感染源になる可能性が高いからです。

嫌な顔をされる飼主さんもいますが、逆の立場で考えて下さい。

ご自分のペットが病気にならないよう、ワクチンをうったり、予防薬をつけたりしているのに

となりに座った人が、「今日ペットショップから来たんですが、咳してて・・・」とか

「今日拾った猫なんですが、ノミとかいるかもしれないから診てもらいたくて・・・」とか

「待合室別にして欲しいな〜」って思いませんか?

時間の経った便でも、強い感染能がある「パルボウイルス」という怖い伝染病もあるし、

ノミの卵を家に持ち帰れば、生活環境が汚染され排除するのは至難の業です。

病院内が汚染されれば、院内感染の危険度も上がります。

当院には隔離施設がないので、「家に迎えて10日以内の犬・猫」の診察をご依頼の場合、

まずは、お電話下さい。

その上で、獣医師の指示に従っていただければと思います。


          《バックナンバー》に戻る


◎果物・野菜が命を脅かす。OASの話

「アナフィラキシー」って言葉、聞いたことありますか?


4つあるアレルギーの型のひとつで、「即時型アレルギー」のことです。


即時型アレルギーは、「アレルゲン(原因物質)に暴露後、

数分から数時間以内に起きる急性のアレルギー」のことです。


日本アレルギー学会の2014アナフィラキシーガイドラインによると、

「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、

生命に危機を与え得る過敏反応」とあります。


人では「小麦などを食べた後の運動」が引き起こす運動誘発性アナフィラキシー

も知られており、必ず「暴露した直後」と言うわけでもありません。


軽症の場合は、熱感、顔の腫れ、かゆみなどですみますが、

重症化すると、

喉の奥まで腫れる喉頭浮腫気管支収縮などによる呼吸困難、

末梢血管の拡張による循環不全(アナフィラキシーショック)

を起こし、死に至ることもある重篤な状態です。


人間であれば、アナフィラキシーショックは「3次救急」

抗ヒスタミン剤やステロイドの投与、エピネフリンなどカテコールアミンの投与、

循環を維持するための輸液、呼吸困難があれば気管挿管、喉頭浮腫があれば気管切開等が

行われ、救命処置が施されます。


アナフィラキシーショックから救命後も、その後の臓器不全(腎不全など)

にも十分な注意が必要となります。


以前より何度かホームページや看板などで紹介していますが、

今回は、OAS(口腔アレルギー症候群)の話です。


簡単に言うと、「花粉アレルギーを持つペットが、特定の野菜・果物を食べて起こすアレルギー」。

人だけじゃなく、ペットでも起こると言われています。


アレルギーで起こる抗原抗体反応は「鍵と鍵穴」の関係。


アレルゲン(抗原)が鍵にあたりますが、

ぴったり合う鍵じゃなくても、鍵穴にはまってしまい、アレルギーの扉が開いてしまうことを

「交差反応」と言うんです。

日本ほぼ全土に「ハンノキ」という植物があって、その花粉症は一般的です。

「ハンノキ」アレルギーがあるペットが「リンゴ・梨・イチゴ・セロリ・ニンジンなど」を食べると、

「交差反応」によって、アレルギーを起こすことがあるのが分かっています。


口腔アレルギー症候群(OAS)とか花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)といいます。


症状は、軽症から重症まで様々ですが、

摂取後、短時間で症状が現れた場合には、重症化することがあるので、

十分な注意が必要です。


もし、アナフィラキシーが起こった場合は、

様子をみることなく、迅速に、設備・人員の整った病院を受診すべきです。

ショック状態に陥ってからでは間に合いません。


予防策としては、アレルギー体質の場合、OASに対する知識を深め、

原因になりえる食材は回避することです。


人の食物アレルギーでは、どれくらい食べるとアレルギーを起こすかを

調べる「負荷試験」を行いますが、負荷試験で事故が起きているのも事実。


ペットの場合、原材料が明記されている処方食も販売されているので、

敢えて、そんな危険をおかす必要はないでしょう。


なにげなく与える野菜、果物、食材が「アレルギー体質のペット」にとっては、

”命を脅かす可能性がある”という事実を知って下さい。


最近は、「成型したおやつ」。例えば、板状にしたソフトジャーキーの類、

スティック状のおやつに野菜が練りこんであるものが多く出回っています。

何が入っているか分からないものは、特に十分な注意が必要です。

原材料表示をきちんと確認するよう心がけましょう。


実際、そのようなおやつを食べた後、アレルギーと思われる症状(蕁麻疹、かゆみ、下痢、嘔吐)

で来院するペットは少なくありません。


アレルギー体質のペットを飼っている方は、「OAS」「PFAS」

検索し、理解を深めて下さい。


当院では、カウンセリング(有料)も行っています。

回避すべき食材の資料もご用意しておりますので、

是非、ご利用下さい。


          《バックナンバー》に戻る


◎てんかん発作って毎日薬飲まないとダメ?

自分のペットがてんかん発作を起こした姿を目の当たりにすると

あまりの恐ろしさに、気が動転してしまう飼主さんがほとんどだと思います。


そのため、病院で毎日2回の抗てんかん薬投与を指示されると、

「そういうものなのか。じゃあ、仕方ないな・・」

と、すぐに投薬を始めるケースが多いのではないでしょうか。


1度でも発作が起きたら、すぐ「抗てんかん薬」の治療を

始めなければいけないのか、それについて考えてみます。


まず、「てんかん」の発作ってどのようなものか。

@背骨を伸ばすように体を弓なりに反らせて全身がガタガタと痙攣する「全般性発作

A顔の半分だけ、体の半分だけが痙攣したり、一部分がピクピクひきつる「部分発作

この2つのかたちがありますが、最初に部分発作→全般性発作になることもある。


自分のペットが気を失ったり、麻痺したり、震えたりして、

明らかにおかしいが、「てんかん」かどうか分からない場合は、


@動物を広い平らなところに移して、床に頭をうちつけないように頭の下に手を添える。

A呼吸を妨げない、誤嚥させないために横に寝かせる(抱きかかえたり、頭を高くしない)。

Bてんかんの発作ならば、1〜2分でおさまることも多いので、3分は待つ。

Cもし、3分(かなり長いです)経ってもでおさまらなかった場合は、動物病院に行く準備をする。

D−1 準備をしているうちにおさまれば、呼吸をしていることを確認後、病院に電話し、指示を仰ぐ。

D−2 おさまらなければ、電話連絡→動物病院へ向かう。


では、本題の薬の話です。

結論から言えば、「飲まないよりは、飲んだ方が安全」です。


ただし、それには、いくつか条件があります。


@発作の原因がにあり、進行性で取り除けないことがMRIなどで確定している場合

Aであり、血液検査で発作を起こす原因が見つけられない場合

B原因が何であれ、12週〜16週に1回の頻度以上で発作がきてしまう場合

C原因が脳にあり、1度でも発作の"重積"や"群発発作"を起こしたことがある場合


"重積"は5分以上の発作、または発作と発作の間に意識回復しない連続発作

"群発発作"は発作と発作の間に意識回復するが、1日に何度も発作が来ること


なんだか、難しいですね。

てんかんは大きく分けると2つ。「頭蓋内に原因がある」「頭蓋外に原因がある」です。

もっと細かく分けることもできますが、大分類と思って下さい。

「頭蓋内」は脳の異常や、脳の異常と思われるがMRIなどでも原因が分からないもの。

「頭蓋外」は血液の異常、脳以外の臓器の異常が原因であるもの。


抗てんかん薬の毎日投与を始めるのは、

○「徹底した血液検査上異常がない」かつ

○「12週に1回以上の発作頻度」または

○「発作の重積・群発発作があった」場合

と考えればいいでしょう。


考え方の根っこにあるのは、発作がおきると、原因が脳にあるなしに関わらず、

「脳の傷は広がってしまう」からそれは絶対避けなければいけない。

ただ、抗てんかん薬は「飲まないですむなら飲ませない」

ということだと理解しています。


「でこぼこな石ころだらけの道」(発作の原因)を、車で走っていると想像して下さい。


車は前後左右に大きく激しく揺れています。


今、石ころが跳ね上がってフロントガラスにぶつかり、ビビが入りました。

経験のある方なら、分かると思いますが、フロントガラスのヒビを放置して、

車に振動を与え続けると、ヒビはどんどん拡がっていき、

フロントガラスごと取り替えなければいけなくなります。


振動」がヒビを拡げる原因ですから、ヒビを拡げないためには

エンジンを切って振動を止めればいいんです。

傷は残っても、そこまでで済みます。


自宅の前が「でこぼこな石ころだらけの道」なら逃げようがありません。

ただの旅先の「でこぼこな石ころだらけの道」なら、

車の修理屋さんでヒビを補修してもらった後、

2度とひどい石ころ道を走らなければいいでしょう。


発作の原因が脳にない、つまり、治療によって取り除ける、

「血液検査で発見出来るような原因(頭蓋外)」なら徹底して調べるべきです。


病院は、薬を出すのは簡単です。

発作がきた→一生涯にわたり薬を出す→病院の利益になる。


仮に、原因が、脳ではなく、血液の異常による一時的なものだったとしても、

原因を突き止める努力をしなくては、

ひょっとしたら、飲み続けなくていい薬を飲み続け、

定期的に高額な検査を受け続けなくてはならないかもしれません。


てんかんの原因が、治療可能な「脳以外の疾患」だった場合、

抗てんかん薬を飲み続けることが、原因をマスクしてしまう可能性だってあります。


例えて言うなら、「僕、胃腸が弱いんだ」と思い込み、実は

”乳糖不耐症”であるとは知らずに牛乳を飲み続け、下痢止め薬を常用し、

「なんとなく効いている気がする」みたいなものでしょうか。

(実は私自身が、数年前、”乳糖不耐症”だと分かったんです・・)


「心配だから、原因は何であれ、抗てんかん薬は一生飲ませます」というなら

もちろんそれはかまいません。

「薬は飲ませるけど、原因を突き止めるのに検査検査で負担をかけるのは

かわいそうだから検査は結構です」もいいんです。

飼主さんが納得さえしていれば。


コロンボ動物病院では、安易に抗てんかん薬の毎日投与はさせません。

実際、血液検査結果から、フードや生活習慣の改善で、

抗てんかん薬投与の必要がないレベルまで発作頻度を減らせているケースもあります。


抗てんかん薬の治療は、薬からの離脱にも十分な注意が必要です。

飲み忘れたり、勝手に投与量を変えたりも出来ない、

つまり、飲み始めたら、ずっと飲み続けることがほとんどです。

薬代や血中薬物濃度検査代の経済的負担、

毎日の投薬や「いつ発作が来るかわからない」精神的負担の大きさを考えると、

原因は可能な限り特定すべきだと考えています。


          《バックナンバー》に戻る


◎意味のない感染症検査

意味のない感染症検査、それは、

「生後6ヶ月未満でおこなう、フィラリア抗原検査」

フィラリア抗原検査は、出来れば7ヶ月以上で実施です。

もし感染してても、検査が早すぎて、陽性反応は出ませんよ。

意味がない感染症検査・・二つ目は・・

と、すすめたいところですが、これ以降は、

アイデックスラボラトリースという臨床検査会社がパンフレットに

載せている検査についての記述を要約して書きますので、

飼主さんが判断して下さい。

《ネコのエイズ・白血病検査》

1.猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体

○ELISA法

・(−)陰性ならばFIVに感染していないと考えられます(抗体陰性)。

 ただし、感染初期の場合もありますので、暴露された可能性が

 ある場合は3〜4ヶ月後の再検査をお勧めします。

・(+)陽性ならばFIVに感染していると考えられます(抗体陽性)

 ただし、生後6ヶ月以内の仔猫の場合、移行抗体

 の可能性がありますので、6ヶ月齢以降に再検査を行う必要があります。

以上、抜粋です。

 ※暴露とは、「エイズウイルスに接触している可能性がある」という事。

  「ネコが家に着たばかり」は、来る前の素性が分からないのでこれに当たります。

 ※ELISAでは陰性・陽性に関わらず、「家に来て3〜4ヶ月経過していて、

  しかも、6ヶ月齢以上でなければ、猫エイズとは断定しない」ということです。

もちろん、臨床症状が猫エイズを裏付けている場合は、総合的判断が必要です。


2.猫白血病ウイルス(FeLV)抗原

○ELISA法

・(−)陰性ならばFeLVに感染していないと考えられます(抗原陰性)。

 ただし、感染初期・潜伏感染・回復期の場合もありますので、暴露された

 可能性がある場合は90日以降の再検査をお勧めします。

・(+)陽性ならばFeLVに感染していると考えられます(抗原陽性)。

 中には一過性で治るものもあるので、30〜60日の間に再検査を行うか、あるいは

 追加検査としてIFAを行い本当に持続感染かどうかを判定する必要があります。

以上、抜粋です。

 ※陰性なら90日以降の再検査が勧められ、陽性でも30〜60日以降に再検査、あるいは

  別検査を追加して判定する必要があるということです。


これらは、ひとつの臨床検査センターの方針ですが、

当然、科学的根拠に基づいています。

飼主さんが、猫を飼おうというときには、当然、知っていていいことです。

家庭に新たな家族を迎えたとき、

「ついでに検査しましょうか?」と言われても、

「まだ、家に来たばかりだし。生後半年経ってないから、6ヵ月齢でお願いします!」

譲渡してもらうときも、

「検査は陰性みたいだけど、まだ生後2ヶ月位だし、生後半年でもう1回検査ですね!」

と言えれば、スゴいと思います。

お金を払ってやる検査です。

”意味のある感染症検査”を受けましょう!


          《バックナンバー》に戻る


◎耳の病気の話(綿棒グリグリ)

2017年12月22日、YAHOOニュース(FNNニュース)にこんな記事がありました。

「子供の耳疾患 過去最多」

内容は、学校の健診で、耳に疾患が見られる子どもの割合が、2017年は、

過去最多となったことが、文部科学省の調査で分かったというもの。

そのニュースの中で、日本耳鼻咽喉科学会の話として次のように書いてある。

「近年、耳あかが詰まる"耳垢栓塞(じこうせんそく)"が増えている。

"必要以上に耳掃除をすると、かえって耳あかを奥に押し込むこともあり、

炎症を起こすこともある"として、専門医に相談するように呼びかけている。」

外耳炎で来院するペット、特に犬で、同じ問題が起きています。

原因は、綿棒や鉗子に綿花を巻いたもので、

耳掃除をすることにあると考えています。

耳の入り口から見て、目で見える耳あかだけ、やさしく綿棒でぬぐう、

あるいは、耳鏡で見ながら、少しずつ掃除するなら問題ありません。

いけないのは、綿棒が真っ黒になるまで、奥の方までグリグリやって、

「ほら、こんなに汚れてましたー!」ってやり方です。

先の丸いもので、いくらグリグリやっても、きれいに取れるわけありません。

カレーライスを食べるとき、スプーンや手を使うのは、カレーライスを

おたまのように掬える(すくえる)からで、米粒ひとつ残さず食べられます。

もし、すりこぎ棒のような先の丸いもので食べたら、

米粒ひとつ残さず、きれいに食べることなんて出来ません。

「耳が臭う」「耳をかゆがる」といって来院する犬の耳を耳鏡で見ると、

耳掃除が原因の場合はすぐ分かります。。

耳あかの溜まる場所が皆同じなんです。下の写真を見て下さい。

mimimennbou

矢印の部分まではすごくきれいですが、矢印より奥は耳あかだらけ。

矢印より、向こうに押し込んだように見えるんです。

実際には、L字型に曲がった犬の耳には、矢印の部分までしか綿棒が届かないため、

とれない耳あかの土手が出来てしまう。

盲目的に綿棒や鉗子に綿花を巻いたもので「グリグリ」するのは、

ほとんどの場合、"綿棒が真っ黒になってやりきった感"を得られる自己満足です。

もし、綿棒で奥までグリグリやって、耳を悪くしないのなら、

もともと、溜まるほど耳あかがないということです。

一度、見せてあげたいくらいです。

健康な犬の耳・・本当にきれいですよ。

鼓膜が薄いんです。半透明で、細い血管が走っています。

鼓膜の奥には中耳の耳小骨が透けて見えます。

鼓膜まで続く耳道の皮膚は"真珠の光沢"です。

おおげさに聞こえるかもしれませんが本当です。感動しますよ。

あれを一度見たら、耳の入り口が少しほこりで汚れてようと、

まったく気になりません。

あの感動的な美しさを持つ耳に

「シャンプー液ジャブジャブ」とか、

「(実はとても硬い)綿棒グリグリ」とか・・

ありえません。

耳道がひどくただれて、強烈な痛みを伴う、急性の外耳炎は

「緑膿菌」の感染を伴う難治性の外耳炎であることがあります。

「緑膿菌」は、抗生物質への耐性を容易に獲得するメカニズム、を持っている菌で、

薬に対する反応が極めて悪い。でも実は、特別な菌ではなく、普通にいる菌。

"耳に傷をつけなければ"悪さはしないんです。

急性の外耳炎は、教科書的にも耳掃除やシャンプー後に起こる

と言われています。悪くなっていない耳なら、いじり過ぎないことです。

ただ、アレルギー、原発性・続発性の脂漏症など、脂漏を伴う場合は、

耳だけでなく、全身管理が必要な場合がありますし、

腫瘍や難治性の外耳炎によって、外科的処置が必要な場合もあります。

また、耳道をきれいにするために、麻酔下での処置が行われる場合もあり、

今は耳科専門をうたう病院もあります。

現在は、ペットの病気に関する情報がネット上に溢れており、

さながら、「一億総獣医」の様相を呈しています。

多くの情報を得るのはいいのですが、情報を過信して、耳を悪化させる前に、

是非一度、来院して欲しいと思います。

          《バックナンバー》に戻る


◎もう3年毎でいいです!ワクチンの話

コロンボ動物病院では、現在、犬・猫の混合ワクチンの接種

を「3年に1回」にしています。適当に言っているのではなく、

世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドラインに沿った接種

をすることに決めたからです。

このガイドラインでは、ワクチンを最も重要なコアワクチンと、

そうでないノンコアワクチンに分け、それぞれに接種基準を提唱しています。

犬・猫ともに生後1歳3ヶ月位までに生ワクチンを4回接種すれば、

その後つまり1歳齢の次のワクチンは、4歳でよいということです。

様々な研究の結果、コアワクチンで獲得する病気に対する抵抗力は

最低3年間は確実に維持するから、それより短い間隔で接種しなくてよい。

とガイドラインに記載されています。

実は、この「コアワクチンで」というのが味噌なのですが、

日本では、このコアワクチンのみからなる製品が数年前製造中止になって以来、

販売されていません。

今では、このコアワクチンにノンコアワクチンの「パラインフルエンザワクチン」

を加えた《5種》がコアワクチンを全て含む製品としては最小単位です。

パラインフルエンザワクチンは、コアワクチンとは違い、

「疾病の発生状況に応じて、1年毎の接種が推奨される」ワクチンです。

しかも、パラインフルエンザだけのワクチンは販売されていません。

そのため、日本では、パラインフルエンザワクチンを毎年接種しようとすると、

自動的にコアワクチンが付いてきます。そして、

「パラインフルエンザだけのワクチンがないんだから、

5種以上を毎年接種するしかないですよ」

という話になる。

ほっほ〜っ。そういう事なんですね。

でもね、パラインフルエンザ、犬が沢山いるところにいかなかったら、

まず、感染しませんよ。

人がどんな所でインフルエンザに感染するか、考えれば分かることです。

しかも、今は、どの薬屋さんもワクチンは品薄な状態。

自分が欲しいワクチンを頼んでも、すぐには手に入りません。

メーカーが出荷調整をしているんだそうです。

ほんとに、なんのこっちゃい、という話です。

混合ワクチンは接種が義務付けられている訳ではありませんが、

サロンやドックラン、ホテルでは、毎年接種していないと利用出来ない

ケースがほとんどです。防疫上止むを得ないと思いますが、簡単なことです。

皆が、「いっせーのーせっ!」で3年に1回にしちゃえばいいんです。

パラインフルエンザワクチン作っちゃえばいいんです。・・しないけど。

猫のワクチン、生ワクチンは市場の流通悪いですよー。

どっかにたっぷりあるんですかね。

ただ、生ワクチンの接種については、反対している人もいます。

病原性復帰の問題です。

生ワクチンは免疫原性を残し病原性を弱めたワクチンです。

簡単に言えば、体に抵抗力(免疫)を作る力は強いけど、

病気にはならない注射用のウイルスです。

完全に死んだウイルスではないので、注射後体の中で突然変異を起こし、

病原性が戻ってしまう危険があるんです。

メーカーによっては、この理由から敢えて、生ワクチンを

製造しないところもあります。

猫のワクチン接種では、犬と違って、コアワクチンとされている

ヘルペスウイルスとカリシウイルスに対する、

ワクチネーションの効果について、完全ではないとされています。

ウイルス株の多さが原因のようです。

人のインフルエンザ用ワクチンの「香港型うっても、ソ連型効かない」

みたいな感じでしょうか。

ただ、パルボウイルスは、生後1年3ヶ月くらいまでに

生ワクチンを4回接種すると、生涯、パルボウイルスには感染しない程

強力な免疫が得られるということです。

あともうひとつ。今、犬用ワクチン接種によって得られた

「抗体価測定用のキット」が出回ってますが、毎年なんて

必要ないんですよ。

どうしても、抗体価が気になる方は、以下の場合のみ有効だと思います。

@生後14〜16週までに3回の接種が済んだ、その2週間後に1回。

→ワクチンに反応しない犬(ノンレスポンダー)かどうか調べる場合、

A前回ワクチン接種から3年経ったが、うたないで済むものなら、

うちたくない場合。

正直、抗体価がいつ、「有効レベル以下に下がる」かは、年単位の測定で

分かるわけないので、意味がないと考えますが・・。

「うたない」でいい程、高いレベルの確認をしたい場合は有効です。

当院のホームページからWSAVAのワクチンプロトコールガイドライン

を見られるようにしてあります。

メニュー→混合ワクチン接種からWSAVAのPDFへどうぞ。

このような状況では飼主さんが、ご自身で勉強され、ワクチン接種を

依頼していただくのが、一番いいと考えます。

是非ご一読下さい。

          《バックナンバー》に戻る


◎フードってどうやって選ぶ?

コロンボ動物病院を開院した当初、飼主さんに言われた言葉、

「先生、牛専門の先生なんですって?」


「はぁ、まぁ・・」

確かに、獣医になってから、大動物診療に従事して、

日夜岩手の山の中、雪の中を

診療車で爆走していたのは間違いない。

獣医は、「獣医学科、大動物専攻」とか「小動物専攻」とかはなく、

卒業後はどんな獣医職にもつける。


私が、千葉に戻ってから勤務した木更津市の犬猫病院は、

一日に50件、繁忙期なら100件の患者さんが来院する病院で、

獣医は3〜4人だけ。そこで3年間、本当に様々なペットの診療を

”担当医”として経験したので、「牛専門の・・?」と言われても、

「はい」とは即答出来ない。「はぁ、まぁ・・」となる。


体力的にも、精神的にもきつかったが、

牛の獣医として働いたことに、後悔はこれっぽっちもない。

結果、離れることになったが、獣医としての姿勢というか、

信念というか、そういうものを得られた、

いつもガチンコでぶつかった、いい仕事だった。

岩手を離れる前、農家さん達に「牛を病気にしないための指導書」

を作って渡すと約束したが、結局作らなかった。

時間はあったし、途中まで作った。でも、

いなくなる人間が、偉そうに自分のやり方をごり押しするより、

その後苦楽を共にする獣医といい関係を作ればいい。

と思い直した。

私の指導が、過去のものとなるくらい、事故(病気のこと)

が出なくなるような良い指導がされていればそれでよし。

本当にお世話になりました。


今回は、牛の治療の方が、ペットの治療より明らかに「進んでいる」

と思える2つの分野の話です。

ひとつは「子牛の消化器疾患」。つまり下痢。

1年365日、下痢の診察していたと言っても過言ではない。

子牛が下痢をして消耗すると、農家さんは即、損害を被る。

だから、子牛が下痢をしないようにするために

本当に「指導」をよく守ってくれるのだが、

それでも、下痢をなくすことは不可能に近い。

子牛の場合、下痢をする原因がほぼ食餌性で、母乳の質の問題だからだ。

母牛の発情や、飼料、牧草の影響で母乳の質が代わるため、

腸内細菌が対応できず、異常発酵からの下痢をする。

「病原細菌性の下痢」などは、ほとんどないので、

乳酸発酵を止めるための抗生物質と活性炭の内服。

断乳により、発酵の原因となる母乳が体に入るの止め、

輸液により、アシドーシスの改善をはかる。

輸液に耐えられないほどの貧血時には輸血も行う。

これらが、迅速に行われるため、下痢は治癒に向かい、

農家さんの損害を最小にとどめる。

下痢を1日長引かせると、出荷時の体重に影響するため、

1日でも早く治さなければならない。だから、

農家さんは下痢をさせる可能性があることは絶対にしない。


ところが、ペットの診療は少し違う。

バックナンバー1に書いたので、今回はこのあたりにするが、

また、別の機会に詳しく書きたいと思う。


「進んでいる」と思える2つ目は飼料給与の知識だ。

とくに酪農家さん達の知識はすごい。

その酪農家さんに飼料設計する獣医の知識はそれを上回ってすごい。

私には、その知識はなかったので、飼料設計は出来ないし、

したこともないが、

事故を起こすことなく、乳量を増やし、乳脂肪を上げるには

どうしたらいいか、常に考えている。

餌の成分の過不足によって、発生する病気も分かっているので、

計算上では、病気の出ない設計をすればよい事になるが、

そこは、生き物。1頭ごとに消化機能や健康状態が異なる。

しかも、牛は、役畜。仕事をしている。

乳を沢山出していればいるほど、からだに強いストレスがかかる。

また、主食である牧草は天候で、収穫時期で、肥料の質で

すぐに成分が変わってしまう。

飼料計算だけでは、牛の体調は考慮されない。

牛の体調だけ考えても、飼料の質の変化を考慮しないと

机上の空論、学者のたわ言になってしまう。

そこで、飼料が体のなかで、どう代謝されているかを実際に調べるために

「代謝プロファイルテスト」というのが実施される。

血液検査・乳量と乳成分・便の状態・ボディコンディションなどを

すべて調べた上で、現在給与中の餌が体にどういう影響を与え、

どういうふうに栄養として取り込まれているかを判断する。

ここから、一番生産性が上がって、事故の起きにくい飼料の混ぜ方

を決定する。


では、それを踏まえて、話をペットフードに切り替える。

皆さんは、ペットフードを選ぶときに、何を基準に考えますか?

値段と量、原材料に何を使っているか、添加剤は不使用か、

それとも、「獣医師推奨!」「数十種類のオーガニックな原材料」

といったうたい文句か。

    

ペットは飼主さんの家族の一員だから、何を基準に選ぶかは、

飼主さんが決めればいいと思います。

だって、だれも、人の家の食卓に並ぶメニューにケチつけないでしょう。


もし、飼主さんに「フードは何を与えたらいいですか?」

と聞かれたら、「元気なら、飼主さんが与えたいフードを与えたらいいですよ」

と答えます。ただし、診療で病気が見つかったペットに食事指導をする場合は、

「まず血液検査を受けて下さい。フードを変えてから1ヶ月目に再検査です」

と話します。

飼主さんの反応は様々です。腑に落ちない顔をされる方もいます。

「腎臓悪いんだから、腎臓用のフードでいいじゃない」

「肝臓悪いんだから、肝臓用のフードでいいじゃない」

「尿石症なんだから、尿石用のフードでいいじゃない」


注意しなければいけないのは、

処方食は一般的な総合栄養食ではないということです。

もっと分かりやすくいえば、処方食は「成分がおかしい」フードです。

例として、先にあげた3つのフードについてお話します。


@腎臓用のフード

腎臓用のフードの特徴は、一般的に

 1.低蛋白・高脂肪・高炭水化物

 2.低ナトリウム、低リン

 3.体をアルカリ化する

といったところですが、特に問題になるのが、@の高脂肪です。

腎不全には、腎臓そのものがダメになっている腎性の腎不全の他に、

腎臓に血液が通常どおり運ばれないために、体内の毒素を出し切れない

「腎前性の腎不全」というのがあります。

 ○脱水で循環血液量が減っている、

 ○心臓病で心臓のポンプが正常に血液を送り出せない、

 ○それと、すい炎(膵炎)です。

膵炎では、膵臓の炎症から波及して起こった腹膜炎のため、

膵臓のある腹腔内に血液中の水分が引き込まれるため、血管内が脱水し、

血液検査をすると、「腎臓の数値が軽度から中程度に高い」結果が出ます。

血管内が脱水し、腎臓に通常量の血液が流れないことによる

「腎前性の腎不全」なのですが、これを見落とすと・・・


「腎臓の値が高いね。年齢も高齢だから、腎臓用のフードにしましょう」

ということになる。

もし、腎不全の原因に”膵炎”が絡んでいると、

腎臓用処方食の高脂肪がとたんに膵炎を悪化させる。

膵炎で一番与えてはいけないのは、”脂肪です。

急性膵炎では、急死の原因に、

慢性膵炎では、長期的な食欲不振や消化器症状の

原因になりかねません。


A肝臓用のフード

肝臓用のフードの特徴は、一般的に

 1.低蛋白・中〜高脂肪・高炭水化物

といったところですが、

肝臓用フードが全ての肝疾患の適応になっていないのが味噌です。

肝臓用フードには「肝性脳症に対応」、と書いてあります。

肝性脳症とは、肝臓の「解毒作用やアンモニアを尿素に変える回路」が機能せず、

体中に毒素がまわってしまう症状です。

なかでも、体内では強力な毒として働く、アンモニアは、

タンパク質が分解されて出てくる残りカスなので、

肝臓用フードは”低蛋白”に作られています。


ここで注意が必要なのが、

本来、肝臓は、十分量のタンパク質を必要とすることです。

血中アンモニアや総胆汁酸を測定せずに、

「肝臓が悪いね」といって、肝臓サポートやL/Dをすすめる獣医は、

まずいないと思いますが、現在は、スーパーで処方食が買える時代です。

もし、血液検査で、アルブミンの低値、尿素窒素の低値を伴わない

肝臓の一般的な生化学検査値の軽度上昇、ALP、GGTの上昇があったペットに

肝臓用フード(肝性脳症適応)を与えてしまうと、


肝臓の数値の悪化が「脂肪肝」や「胆道系疾患」だった場合には、

 ○短期的にはフードの中〜高脂肪が胆道系疾患や脂肪肝を憎悪させ、

  特に胆道系疾患では、胆汁性腹膜炎など急性で重篤な状態になり得ます。

 ○中長期的にはフードの低蛋白が、肝臓の蛋白不足による障害を助長しかねません。


肝臓の数値が悪化している原因として、肝臓そのものに原因がない場合もあります

「うっ血性心不全」です。

うっ血性心不全では、腎臓の数値の正常〜軽度上昇と、肝酵素(ALT、AST)の高値を示します。

心臓病の存在に気づかず、「肝臓用フード」を与えても意味がありません。


B尿石用のフード

尿石用のフードの特徴は、一般的に

 1.低蛋白・高脂肪・高炭水化物食

   (猫用は蛋白要求量が高いので、餌により低蛋白でないこともある)

 2.尿を酸性化するフードが多い。

といったところですが、

一番の問題は、いったんフードが処方されると、「病院で尿検査をしなくなる」事。


先に書いたように、尿を酸性化するように作られたフードなんです。

尿を酸性化して、溶解出来るのは、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム結晶)だけです。

シュウ酸カルシウムはph(酸アルカリの指数)にかかわらず、作られますが、

基本は酸性が好きな結石です。


実際、処方食スタート後、定期的に尿検査したペットで

ストルバイトは消えたが、今度はシュウ酸カルシウムが出現していたため、

尿石用の処方食から、もっとマイルドな日常のケア食に

フードを切り替えたことが何度もあります。


もちろん、処方食以外の食生活、例えば、おやつやトッピングなどが

悪く働いた可能性は否定できません。

例えば「さつまいも」のおやつとか・・シュウ酸カルシウム出ますよ。


もし、シュウ酸カルシウム結石を放置したら、

待っているのは腎結石や尿管結石、手術適応の膀胱結石です。

オスで尿道閉塞すれば、救急で一刻の猶予もない「おおごと」になります。


元気なペットならば

”オーガニック”・・いいでしょう。


なんらかの病気を抱えたペットでも

”スーパーで処方食購入”・・いいでしょう。


でも、危険と隣り合わせであることも肝に銘じて下さい。

スーパーやネットで売っているのは、消費者からすれば

ありがたいことですが、危険性はおおっぴらには謳いません。

申し訳程度に”獣医師の指導の下、与えて下さい”と書かれているだけです。


          《バックナンバー》に戻る


◎今この時期にかゆい!かゆい!なんでだろう?

近年、犬の純血志向により、遺伝性と思われるアレルギー、いわゆるアトピー性皮膚炎

が増加しています。


アトピー性皮膚炎と併発していることが多いとされる「食物アレルギー」は

アレルギー検査によって検出可能で、処方食がピタッとマッチして、

うまくコントロール出来ると、かゆみや皮膚症状を劇的に軽減できると実感しています。

言ってみれば、飼主さんの「決まったものしか与えない!」という忍耐、それこそが

ペットをかゆみから開放する鍵なんです。


ただ、アトピー性皮膚炎は、アレルギー検査をもってしても、

原因アレルゲンの特定や、アレルゲンの生活からの排除がとても難しい。

ハウスダストに対するアトピーは、アトピー性皮膚炎の中でも、季節を問わないため、

最もコントロールが難しい。


これはヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニといったチリダニの体を構成する

タンパク質に対して起こるアレルギー反応だ。

これらのダニは、畳、じゅうたん、布団、ソファーといった、生活になくてはならない

住環境やインテリアに住み着き無数に増殖する。

よく間違える方が多いが、けっして噛み付いたりしない(あれはツメダニという別物)。

「うちは布団を毎日干しているから大丈夫!」という人がいるが、

仮に日光消毒でチリダニが死んでも、その布団に残った死骸のタンパク質に対して

アレルギー反応は起こってしまいます。

エビアレルギーの人は、ゆでたエビを食べてもアレルギーを起こすんですよ。

アレルゲンが「生きている、死んでいる、加熱した、してない」は関係ないんです。


ハウスダストに対するアトピーがあるときは、治療は2通りです。


 @対症療法・・投薬と環境からのアレルゲンの排除です。


   ○じゅうたんは全部捨てる、

   布団をたたく・上げ下げする時はペットを近づけない、

   ペットを人の寝室に入れない、

   ダイソンの掃除機でまめに掃除する、

   空気清浄機を一日中回して空気をきれいにするなど・・の環境対策

   ○ステロイドに代表される抗炎症剤を用いて炎症をコントロールする方法。


 A減感作療法・・アレルゲンが特定できた場合には、抗原液(アレルゲンが沢山入った液)

         を段階的に濃度を上げながら、体内に入れる方法。

         即時型のアレルギーを起こす免疫(抗体)が働く前に、アレルギーを

         起こさない免疫(抗体)に働いてもらうようにする方法

  例えて言うなら、「おっかない警視庁の捜査1科」が出てくる前に

  「やさしい交番のおまわりさん」に働いてもらうといった感じでしょうか。


いずれにせよ、この2つの方法しかありません。


前置きが長くなりましたが、今回取り上げたいのは、この話ではありません。

アレルギー検査で「ハウスダスト」が陰性判定だったのに、

「コントロール出来ないアトピーがある」と感じている、という話です。

それは、「柴犬」のアレルギー性皮膚炎です。

柴犬に実施するアレルギー検査では、あまり目立った陽性反応が出ないように思います。

仮に陽性反応が出た食材を回避しても、皮膚炎やかゆみはコントロール出来ません。

花粉やカビといった環境抗原にも、あまり強い反応を示しません。

にもかかわらず、春から秋にかけた長い期間、

腹部、後肢の内側、お尻の毛が薄くなって黒ずみ、

食物アレルギーが陰性にもかかわらず、好発部位の口や目をかゆがる。

とても治療に苦慮します。


今、一番怪しいと思っているのは、「イネ科」の植物です。

日本の固有種である柴犬は、稲作文化の根付いた日本で、長い間、

イネ科植物に囲まれた生活を送ってきた筈です。

イネ科植物に絞ってさらに検査項目を増やしてくれたら、

何か突破口があるのではないかと感じています。

IgE検査においても、日本固有の植物やイネ科植物がもっと充実し、

欲を言えば、安全な皮内テストやプリックテスト

が開発されることを切に願っています。

日本の獣医皮膚科診療においては、

検査結果に基づかない、科学的根拠に乏しい高価なフードを薦める事や、

かゆみだけをブロックする高価な薬にかまけて”思考停止”することなく、

アレルゲン特定にむけた検査の研究が進めばいいと思います。


ところで、「夏や秋は皮膚の状態が良かったのに、ちょっと前からかゆがる」

犬猫がここ1ヶ月で4頭ほど来院しました

皆、皮膚用の処方食やいつもと変わらぬエサを与え、おやつもあげません。

夏に悪化していないのなら、ハウスダストやエアコンのカビは考えづらい。

(ハウスダストのアトピーは夏と冬に2回ピークがきますが、ちょっと早い・・)


秋の雑草も終わった今、なぜだろう?

皆さんに共通していたのは、「冬用の布団を最近出した」でした。


冬用の布団は、皆さん恐らく5月位に、しまうのではないでしょうか。

晴れた日に、めいっぱい天日に干してから。

何かの花粉がたくさんくっついていそうですよね。

心当たりのある方は、布団をサイクロン式の掃除機で何回も掃除した後、

布団カバーを2重・3重にしてみて下さい。

何か変わるかもしれません。

アレルゲンが特定できない、特定できても、完全には排除できないのだから、

やってみるしかないんです。

是非試してみてください。

    

          《バックナンバー》に戻る

     

◎老犬・老猫・・冬に気をつけること

夏の暑さは年老いたペットの体に強い影響を与えますが

冬はさらに注意が必要です

特に心臓の機能が弱ったペット(投薬中はなおさら)、腎機能が弱ったペット

にとっては危険な季節です。

冬の寒さと乾燥が血行動態にさまざまな変化をもたらすからです。

病状を悪化させないためのポイントは3つ

@寒いだろうと暖めすぎないこと(脱水させないために)

A水分補給に努めること(脱水させないために)

B出来るだけ、加湿し、室温を18度程度の一定に保つ

 (呼気で水分を喪失させない、寒さで血管を縮めない)

 ※ペットヒーター、こたつ、ホットカーペットは特に危険。

  脱水を悪化させるし、脱水している動物を急激に温めると死ぬことあり。

全てに共通しているキーワードは「脱水」です。

老ペットは腎臓の機能が弱っているため、体の中に水を

保持することが難しくなっています。”多尿”です。

”多尿”は普通、代償される(不足をおぎなう)ために”多飲”を伴います。

ところが、動物は、気温が下がるとピタッと水を飲まなくなります。

・恐らく気温と体温の維持の観点からだと考えています。

「暑ければ体を冷やし、寒ければ(手足が冷たければ)体を冷やさないようにする」。

他に原因として考えられるのは、

・血圧の上昇が渇欲(のど乾いた!)を低下させる

・血圧を感知する血管のセンサー(首や心臓にある)が反応しない

などいくつかあります。いずれにせよ

体の中の水分はどんどん奪われ補給されません

○循環血液量が減れば・・・

腎性の腎不全に加えて、腎前性の腎不全も起こしますので

血液中の尿素窒素の値は急上昇【尿毒症】することがあります。

○循環血液量が減れば・・・

@体は、血圧を上げて、心臓や脳、あるいは腎臓などの臓器へ血液供給を保つため頑張ります。

 結果、心臓の仕事量が増え、維持できていた心臓病が、とたんに維持できなくなり、

 いわゆる”心不全”を起こします。

A心臓病のペットでも、@とはまったく逆に、体が血圧を上げられないケースもあります。

 ・利尿剤の量が冬の病状に合わせて調整されていない場合、

 ・トラセミドという利尿剤を投与している場合、です。

  トラセミドは体から水分を排出することで、心臓の仕事量を減らしますが、

  ”血圧を上げるルート”を遮断する強い効果ももっています。

  体の状態に合わせて薬用量を調整しないと、

  心不全(ここでは左心のうっ血兆候のこと=肺水腫)を起こせないほど、

  血管内はカラカラに干上がり、重度の腎前性腎不全(血中尿素窒素の上昇)を起こします。

これらを未然に防ぐには・・・

@毎日、体重、呼吸数を測定する(家で出来ること)

A夏よりも頻繁に病院で血液検査を行う(心臓病・腎臓病のペット)

 (毎日血圧測定したいが、難しい)

  @の体重の増加・減少は獣医師に報告して、指示を仰ぎましょう。

   呼吸数は個体差ありますが、安静時犬20〜25回/分位、猫安静時30回位です。

   安静時とは、寝ているときです。そのペットごとの健康時の平均呼吸数を計って

   おきましょう

   呼吸数の増加は、心疾患の悪化を示すことがあるので、毎日行い、

   異常あれば獣医師に相談すること。

          《バックナンバー》に戻る


◎もうやめませんか、愛情表現=おやつ

嘔吐・下痢が原因で来院するペットのほとんどが

「人の食べ物を与えた」「おやつを与えた」という主食以外を口にしたことによる

トラブルです。現在は室内飼いのペットが多く、飼主さんと過ごす時間が増えたため

「おやつを要求して吠える」「自分だけ食べるのはかわいそう」「あの目で見られると・・・」

などの理由で飼主さんが、我慢できずに、必要以上のおやつを与えることが増えています。


困ったことに、おやつを与えて、ペットが主食を食べないと、

「何か食べないと弱ってしまう」「低血糖を起こす」「かわいそう・・」

と言って、スーパーに食べそうなおやつを買いに走ったり、ひとの食事を与えたり。

ペットだって、お腹がいっぱいなら食べないし、胃もたれしてれば、

「今日はもう食べたくないな・・・」と思いますよ。

「主食はイヤ」→「おやつは食べる」→「食欲低下」→「おやつなら食べる」→「嘔吐・下痢」

この段階で、食生活を改善すれば大きな問題にはなりません

人だって、毎日同じ固さや、同じ色の便が出るわけではないでしょう?

問題はその先です。ペットの体が、食生活に反応して黄色信号を発しているのに


「主食はイヤ」→「おやつは食べる」→「食欲低下」→「おやつなら食べる」→「急性膵炎」

「主食はイヤ」→「おやつは食べる」→「食欲低下」→「おやつなら食べる」→「高脂血症」

命に関わる問題に発展します。


業界は、手を変え品を変え、新しいおやつ作りに精を出し、あげく、

「栄養学のプロ」と称する人たちが「安全なおやつ!」と銘打って販売を始める始末・・


重病が潜んでいない、単純な嘔吐・下痢は適切な治療1回と給餌・給水指導で再診の必要がない

ケースがほとんどです。

点滴に何日も通う必要は基本的にはありません。


下痢をしたときに日常的に生菌製剤(ビオ○○○などの乳酸菌製剤)を止瀉薬として内服させる

のもどうかと思います。生菌製剤は整腸剤で止瀉薬とは違います。

生菌製剤が必要な消化器疾患は多くありません。

生菌製剤が腸内でどう働くか、そのメカニズムを考えれば分かることです。

ペットに負担を与えない給餌方法と、治療でペットを食餌性の消化器疾患から解放しましょう。

          《バックナンバー》に戻る